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第2回 認知症とは 物忘れと失われていく能力について

[2019.07.28]

だいぶ暑くなってきました。長かった梅雨も明け、夏らしくなりましたがこれから2か月間暑い日が続くのは大変ですよね。みなさん充分睡眠をとって水分も摂って夏を乗り切りましょう。さて、今回は認知症の2回目、物忘れと失われていく能力についてです。まず物忘れですが、これは年齢に伴って誰でも起きます。単なる物忘れはちょっとしたことが思い出せない、というもので具体例でいえば久しぶりにあった人の名前が出てこない。昨日見たテレビで出ていた場所の名前が出てこない、買い物に行ったのに何を買うのか忘れて後で思い出した、などです。これらは結構ショックを受けたりしますが、共通するのはヒントを出されたり、調べたり、人に言われたりすると思い出すことです。つまり忘れたことを覚えているのです。人の記憶は連続することで関係を保っています。昨日どこに行って、誰と会って、何を買って、何を食べて、どうやって帰ってきたか。すべて連続しています。この一部だけ忘れてしまうのが単なる物忘れです。一部ですから前後関係から思い出せることがほとんどです。これに対して認知症で起きる物忘れは、イベント全体を忘れてしまいます。たとえば、旅行に行って何かお土産を買ったとします。単なる物忘れならお土産は買ったが、何を買ったか忘れた、とかどこで買ったか忘れたと言う感じですが、認知症になると旅行に行ったこと全体を忘れてしまいます。旅行なんか言ってないよ、といった感じです。ですから自ら物忘れが増えたと心配してクリニックに足を運ばれる方は大半が認知症ではなく単なる物忘れであることが多いです。もちろん認知症の初期症状ということもありますから、御心配であれば是非受診していただくのが良いと思います。また、認知症については一部誤解があり、実は認知症が進行しても低下しない能力もあります。計算力は落ちたが、言語能力は全く変わらなかったり、といった感じです。ですから認知症の方と接するときも何か残っている機能に注目してそこを尊重して差し上げるとよいです。次回は認知症の特性と病型についてお話します。

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